約20億円の売却益で財務立て直しへ
フードデリバリー大手の「出前館」が、2024年6月上旬に、持ち分法適用会社の「くるめし」の保有全株式(24.65%分)と新株予約券を売却するコトを発表しました。
「くるめし」は、ロケ・会議など向けの仕出し弁当を掲載するサイトなどを運営している会社で、2013年に資本・業務提携をスタートさせていました。
事業領域が少しだけ違うと言う感じですが、「出前館」が持っていた加盟店ネットワーク・運営ノウハウの活用などを進めると言う形で提携していたので、別にデリバリー配達員からすれば、あまり提携を感じるコトはなかったかとは思いますが。
で、今回の売却理由は、やはり決算。
2024年8月期の連結最終損益は、前期の121億円の赤字から79億円の赤字に改善する予想でしたが、今回の株式売却による約20億円の特別利益などを計上するコトで、33億円の赤字にまで大きく縮小する見込みであるコトが、発表されました。
元々の予想が79億円。
そこに20億円の売却益が入っても59億円の赤字なので、やはりかなり販管費を抑えている感じなのが分かりますね。
販管費を抑えたコトで、2024年8月期の売上高予想は、前期比1%減の510億円に引き下げ。
元々は9%増の560億円の予想でしたから、約50億円も下がると言う感じ。
売上減が止まらない状態
減収増益予想。
やはり売り上げは伸び悩んでいるな…と言うのが、率直な感想。
「出前館」を通した注文の商品代金・配達料などの「流通取引総額」は、2024年第2四半期で510億円。
前年度は546億円でしたし、大型キャンペーンを行なっていた2022年度の第2四半期は610億円だったコトを考えると、2年間で100億円も下がっている状態。
1年に1回以上、注文をしたアクティブユーザー数も2022年第2四半期は853万人。
それが2023年には770万人になり、今期は579万人とガクンと下がった状態。
なので、やはり「出前館」としては、財務体制を立て直しつつ、黒字転換をまずは確実にしたいと言う感じなのかな…と。
そうなると、やはり売上原価の配達パートナーへの報酬を下げると言うコトが考えられますが、これをどこまで下げてくるのだろう…と。
ただ第2四半期の売上原価は前年度よりも上がっているんですけれどね。
この辺り、どう捉えればいいのやら。
単に失敗しただけなのかも知れないけれど。
ここらで黒字転換を視野に入れたいが…
「出前館」。
日系フードデリバリーとしては、ここらでしっかりと黒字を確保して、また次の戦略に打って出て欲しいところだけれど、20億円の売却益があっても、まだ赤字が残ると言う状態。
もちろん、赤字額は縮小しているけれども、株価はダダ下がり。
4桁あった株価はずっと下げていて、250円近辺にまでなっている状態なので、投資家からは全く期待されていないと言う有り様。
まぁ、これが世間の評価と言えるのでしょうかね。
まぁ、その昔は額面割れしているような状態も長かったから、その時よりはマシなんでしょうが(コロナ禍以前だし、その時とはもう売上高も全然、違いますけれどね)。
でも、この辺りで黒字転換が見えてこないと、さすがに事業として先が見えなくなってくるのでは…と思いたくなります。
何と言っても、コロナ禍の特需は、完全に消え去っているので。
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